序
いまや朝鮮事件の進展に伴うアジア情勢の激動は、いよいよ白熱の度を加えるとともに、他方、世界全般における戦争と平和に対する見透しがいまだ定かならぬ混沌のうちに覆われているとき、憲法に示された平和國土をもつて世界民主主義の一つの範例たらんとする日本の運命の前途には、きわめて深刻かつ多難なるものがあるのをみる。
しかも、二つの世界の矛盾的な様相は、三度び世界を破壊と殺戮の怖るべき戦火の中にさらそうとする最大の危機の到來を告げており、このような破局への途を予告する危機的現実にあつて、日本の今后の方向をいかに樹立するかは現在のわれわれに課せられた唯一至上の命題である。
ひるがえつて、日本の現状をみれば、相次ぐ洪水の氾濫と国土の荒廃、人口問題の苦悩、経済的基盤の貧困、社会的不安の増大、暴力主義の浸透等、あらゆる困難な状況に直面しており、さらに襲いくる戦火の幻影とともに、この四つの島における自由と繁栄のよろこばしき未來像は根柢から葬り去られようとしている。
このときに当つてわれわれは、かゝる日本の生くべき未來像をいかに構想しうるか?――日本をしてはるかに高度な創造的平和の一大基盤たらしめるには何をなすべきであろうか。
世界の運命が日本の運命と何らかゝわりなきものであるとの迷蒙を最早や何人も信じないように、その逆にまた日本の運命の方向が世界の全般的な動向に対して、ある重大な力を寄與するものであることをわれわれは確信する。
しかも、二つの世界の勢力圏の中間に位置する日本の政治的・経済的・戦略的地位は、あらゆる意味において重要かつ決定的な意義と役割をもち、その動向はまさに最も微妙な立場におかれるものであり、この場合、日和見主義による樂観的前提に立つことを決して許容しないのみならず、戦場か平和地域化かの二者択一は、日本人自身の態度如何にかゝつているのを知らねばならない。
こゝにわれわれは、日本の根本的方向を、所謂永世中立的意味でなく、マックアーサー元帥の明示された「太平洋のスイス」として構築される平和國土建設の中に、戦争と平和の危機的対立をこえて、まことに未來の光を仰ぎみる平和文化の具体的実現への最善の方途をみるとともに、來るべき対日講和に示される基本的條件の構想及びその根本的施策の解明と確立を達成せんとする。それは現実的には、生ける平和文化創造の基盤をなす國際連合と日本の地球的位相とが直結し一体となり、「太平洋のスイス」が國連平和地域として具現され、今后に來る世界史の運命的な一線を引く日本の未來的方向として提起されるものである。
このときこそ、われわれの憲法は、かつてマックアーサー元帥が國連に向つて述べた
「その目的は遠大高尚ではあるが、國際連合がその目的を眞に達するためには、日本が新憲法によつて戦争を否認した如く國連加入の各國をして、戦争を否認せしめねばならぬ。」(一九四六年四月三日)
――という予言を果すべき、眞の先駆的意義を達成するであろう。
The United Nations, admirable as is its purpose, great and noble as are its aims, can only survive to achieve that purpose and those aims if it accomplishes as all nations just what Japan proposes, unilaterally to accomplish by this constitution to abolish war as a sovereign right.
before Allied Council; April 3, 1946
一九五〇年十二月
地球文化研究所
転載元:地球文化研究所著『日本經營計画』(1950年12月発表)
P.S.1
『日本經營計画』の発表は、GHQ検閲の縮小時期ではありますが、占領下の中にあって、未来の日本の根本的方向を慎重かつ大胆に示しています。
日本の根本的方向とは「日本の文化の独自性」、即ち”皇道”です。
元文化庁長官の河合隼雄は、アメノミナカヌシ、ツクヨミ、ホスセリの「型とふるまい」や「国譲りの型」から、『古事記』の全体的な構造は”中空均衡構造”であると看破したとされます。
”中空均衡構造”が示す日本の根本的方向は、一つのモデル、一つのイデオロギーといったもので進んでいく時代の終わりを見透かし、矛盾しているものを抱え込み、葛藤しながらも、中心に強い力や唯一の正解を置かず、空白として残し、未来を創造し、”皇道”を世界に敷くことにあります。
造化三神と呼ばれる三柱は、天地のはじめのときには既に高天原にいたとされますが、「なぜ高天原があるのか?」という問いの答えを空白として残している時点で、”中空均衡構造”が「日本の文化の独自性」であると首肯できます。
絶対的唯一神が世界を創造したとする文化と比べれば、吉田松陰が教えるところの「国の最も大なりとする所のものは、華夷の弁なり。」が明確となり、天皇の「型とふるまい」は神格であると悟るのです。
ただし、”皇道”が一つのモデル、一つのイデオロギーとなってしまっては元の木阿弥ですから、少なくとも私たちは”中空均衡構造”を心の中に銘記すべきでしょう。
矛盾しているものを抱え込み、葛藤しながらも、中心に強い力や唯一の正解を置かず、空白として残し、未来を創造し、”皇道”を世界に敷くのです。
また、『日本經營計画』の「序」の内容を鑑み、1970年11月5日に発表された『光輪研究所の設立趣旨』を同時に開示しております。
ぜひ合わせてお読みくださいませ。
『光輪研究所の設立趣旨』はこちら。
P.S.2
緊急オンラインセミナー『NATO再編の伏線』参加者の皆様には、『HAARP文明未来論』を特別価格にて提供しています。
特別価格の締切は【本日、9月6日23:59まで】となっております。明日の9月7日以降は定価でのご提供となり、9月中にコンテンツのご提供自体を終了します。
陰謀論に包まれたHAARP、その正体は、文明の未来図を設計する究極的な文明起動計画。
“皇道”を世界に敷くためにこそ、『HAARP文明未来論』を研究しています。
9月12日(土)には、『HAARP文明未来論』参加者が集まって議論する交流会の第二回を開催します。【あと1名】参加可能です。ぜひともに未来創造について意見を交換しましょう。
緊急オンラインセミナー『NATO再編の伏線』に参加されなかった方も、ぜひこの機会にお申込みくださいませ。
『HAARP文明未来論』申込はこちら。
