こんにちは。
戦略思想研究所 中森です。
はじめに、今月刊行を予定していた『未来学言論(第六版)』に関するご案内です。
同著の刊行は、諸事情により遅れることになりました。
楽しみにされていた方々には、深くお詫び申し上げます。
具体的な期日が決まりましたら、改めてご案内いたします。
さて、これまでコツコツと継続してきた『日本經營計画』の公開は、本日より後半に入ります。
実のところ、私が『日本經營計画』の公開を進めてきた理由は、この後半を共有したかったからです。
仲小路彰の思想の心髄、ここにあり。
ここからが本番です。
後半の目次は次のとおり。
Ⅵ 歴 史
1.二十世紀地球人間史
2.太平洋文明への歴史的動向
Ⅶ 人 間
1.現代における人間の問題
2.総合的人間の研究
3.共産主義の人間的克服
Ⅷ 宗 教
1.宗教的平和運動について
2.宇宙的霊性
3.聖徳太子の現代的意義
4.神道文化の本質
Ⅸ 科 学
1.二十世紀における人間科学の実験
2.科学建設の根本方向
Ⅹ 思 想
1.共産主義の理論と現実
2.アジア的超越の立場
世界平和提案
仲小路の弟子のひとりである野島芳明氏は、
「仲小路先生の思想が真に理解されるのには数世紀をまたなければならないのかも知れない。」
と懐想しておりますが、私はそこに果敢に挑戦する立場にあります。
その立場から感得するところ、仲小路の思想を理解するためには、極めて広範な知識を必要とし、歴史や人間を述べるにおいても、数学的かつ物理学的視座が要求されます。
例えば、「Ⅵ 歴 史 1.二十世紀地球人間史」において、
かつて廿世紀の夜明けに帝國主義戦争が世界を制圧して一時的な休息に入つたとき、思想と科学は十九世紀の因果律と決定論を克服して現代の可能性の展望を確率的な運動の中にとらえようとした
と述べられていますが、
「十九世紀の因果律と決定論」ついては、微分方程式により宇宙を記述することであると解釈し、「確率的な運動」ついては、量子論やシュレディンガー方程式のことを述べていると解釈することが要求されます。
ニュートンとライプニッツがそれぞれ独自に開発した微分積分や微分方程式は、物理学者や科学者たちの間で「宇宙(自然界)のルールを記述するための共通言語=神の言語」と称されてきましたが、物理量が無限大に発散する「特異点」では、微分方程式は破綻します。
その限界を克服するかの如く、1900年のプランク定数の発見が量子論を立ち上げ、神の言語は、シュレディンガー方程式に置き換わっていくことになります。
ニュートン力学では「粒子の位置と速度が完全に決まっている」と考えますが、量子力学では粒子の位置を確率でしか表せません。その確率の波がどう動くかを支配するのがシュレディンガー方程式です。
そのうえで、「1.二十世紀地球人間史」の次の一文の解釈を試みます。
文明における魂の喪失は、生命空間を高さとして深めることを不可能にし、平面的な無制限の領域拡大による帝國主義的ひろがりを権力意志の欲求として追求する呪われた死滅への方向を辿るのである。
この時、深い歴史の反省に立つて人類は己が前進を凝視しなければならぬ。刻々と迫り來る破滅の危機――戰争か平和か?文明一切の價値はいまやこの二者択一によつて決定されようとしている。
あらゆる平和への努力も計画も犠牲も、もし戰争が撰択されゝば、ことごとく戰争への必然性の前に抹殺される。また、いかなる戰争挑発的計画も、軍備拡張も、水素爆彈の大量生産も、平和への撰択の前には、最大の劇的効果と平和建設のための潜在力と化するのである。
この歴史の二重性は、決定者としての人類をその歴史的なる決定の一瞬に立たしめている。
現在はまさに未決定の一瞬にある。
未來は可能性において存在し、歴史はこゝにその自由なる展開を開始すべく待機している。
しかし、一度び歴史が実現の形態をもち、未決定の未來を過去とするとき、すべてはその実現への過去的因果性によつて規定され、一挙にその相貌を変ずるのである。
歴史とは、つねに未決定性において存在するものであり、しかも、その不断の決定によつて発展する未決定の決定性に立つものである。
われわれは、歴史の未決定の決定性に対して、未來における平和を想定し、その未來より現実を逆に決定することによつて、歴史の方向を變換しなければならぬ。いま、その決定的なる一瞬に立つことを知る。
ここでは「シュレディンガーの猫」と呼ばれる思考実験を想定します。
箱の中の猫は「生きた状態」と「死んだ状態」が同時に重なり合ったまま存在し、人間が箱を開けて「観測」した瞬間に、どちらか一方の状態に確定するという思考実験。
つまり、「歴史の二重性」を「戦争」と「平和」が重なり合っている状態であると解釈し、「決定者としての人類」を観察者であると解釈するのです。
「未來は可能性において存在し、歴史はこゝにその自由なる展開を開始すべく待機している。」とは、「歴史=未決定性において存在するもの」を「箱の中の猫」に見立てていると解釈すれば、腑に落ちるかと思います。
実際の思考実験との明確な違いは、「箱の中の結果」は、「戦争」か「平和」のいづれを「選択」するか、観察者の「選択」に依存しているということ。
史的必然性を記述するマルクス史観に対して、史的選択性とでも言えましょうか。未来の決定に人間の介在する余地を認める立場が仲小路であろうと思います。
したがって、「箱」を開ける観測者が「戦争」を選択すれば、「あらゆる平和への努力も計画も犠牲も、ことごとく戦争への必然性の前に抹殺される」のであり、
一方、「平和」を選択すれば、「いかなる戦争挑発的計画も、軍備拡張も、水素爆弾の大量生産も、平和への選択の前には、最大の劇的効果と平和建設のための潜在力と化する」、ということになります。
即ち既存の事実の意味を書き換える、、、これが、仲小路の提唱する「地球の平和」です。
しかしながら、現実として人間は「戦争」を選択する傾向にあります。それは、なぜなのか、、、?そもそも、人間とは何か??
仲小路は、「Ⅶ 人 間 2.綜合的人間の研究」において、
人間とは一体何んであるか?――また、人間そのものをいかに捉えるか?――は、ひとしく人間自身の根本的な問題であるにもかかわらず、われわれはこの自己自身ならびに同類として人類についてわずかに断片的に窺い知るのみであつた。そして、このことは、われわれに、人間についてのなんらの具体性を附與しなかつた。ひとたび人間について語るとき、われわれはこのものがまつたく万華鏡のように変轉きわまりないものであることを痛感するのみであり、何が〝人間の本質〟なのか少しも理解することができないで來た。
(中略)
いまや、人間について完全な実験をする時代が始まらねばならない。
これまでの人間にかんするあらゆる報告が、われわれの知識の発達に反して、おどろくほど貧弱なのは、廣い観察とその研究の具体化をわれわれが試みたことがないからであつた。
実際、人間が、ある時代や、ある條件の下に示す外観ばかりでなく、そのすべての行動――普通の行動もいつまでも記念される行動も、すべてを同時に体系化することが必要である。
そして人間は、分析・分解すべからざる一つの「全体」であることを常に忘却してはならない。
科学の世界においては何ら特別なものはない。しかし、われわれの茫漠として涯知らぬ内面世界の中にあるものは、すべて意味深くかつ複雑である。
人間についての眞の研究には、物理学や化学や力学より以上に、また政治・経済・社会の動態的研究に先んじて、その綜合的な究明と実験の試みがなされねばならない。
ここにわれわれは、來るべき人間の科学的研究の実験時代に最もふさわしい場所として、國連による平和地域の設定――アジア太平洋圏の諸島嶼――地区を志向するものであり、日本もまたその実験研究所の一大基盤となることを想定するものである。
と述べています。
物理学においては、人間原理(anthropic principle)や創発(emergence)から〝人間の本質〟に迫っておりますが、仲小路は、「われわれの茫漠として涯知らぬ内面世界の中にあるものは、すべて意味深くかつ複雑である」としています。物理学が知りうる〝人間の本質〟には限界があるということでしょう。
「われわれの茫漠として涯知らぬ内面世界の中にあるもの」とは何か。
その例は、「Ⅶ 人 間 3.共産主義の人間的克服」にて次のとおり述べられています。
スターリンもまた、許れるさならば、――自分としては云いたいことがたくさんある。人間の中の人間のひとりとして、自分は全世界の人々にこう訴えたいのだ――と。しかし、現在の彼にはこれができない。それは望むほうが無理である。
もし、スターリンが、眞に自己告白をしたとすれば、それはソ連共産主義の壊滅をもたらすものとなるからである。
歴史に口をとざされた人間――歴史を他にしては、自己の存在を主張することのできない運命の人……これがスターリンの最大の苦悶なのである。
この世界の王者こそは、眞の実存的人間の典型であり、サルトルなどとはおよそ問題にもならない存在である。
もっとも、私が任意に引用するものですが、人間の内面世界の深遠さと複雑さを言語化するうえで、仲小路のスターリン観は極めて参考になります。
さらに、仲小路は、人間について「綜合的な究明と実験の試みがなされねばならない」としています。その実験場が、アジア太平洋圏の諸島嶼であり、日本も一大基盤であるとしていることは、上代日本スメル文化圏の復興を意味することを示唆しています。
仲小路の思想の理解に挑戦する立場にある者として、感得するところはいくらでもありますが、そろそろ、本日更新記事のご紹介に移りたいと思います。
Ⅵ 歴 史
Ⅶ 人 間
ぜひ今すぐお読みくださいませ。
それでは、また。
戦略思想研究所 中森護
P.S.
HAARP文明未来論については、先月末に新規参加者募集を締め切っていますが、不覚にも体調を崩していたこともあり、締切のご案内ができなかったため、今月末までに延長しております。
未来の決定に人間の介在する余地を認める立場は、HAARP文明未来論も同じ。
奉公衆ネットワークとは、國體の原動⼒であり公私共同体の協⼒網。
政治連ガバナンスとは、政体の原動⼒であり政治共同体のプロセス。
科学連ガバナンスとは、科学共同体のプロセスであり”主体的”に強力な技術(エネルギー・軍事・マインドコントロール、、、)を生み出す勢力。
この三者の相互作用の有り様によって、世界人類の未来のシナリオが大きく分岐します。
史上類を見ないほど重大な分岐点に働く力学は、ワンワールド・ミリタリー・インテリジェンスが火を付け、奉公衆ネットワークが火を消すことにより、HARRPの運用を「公」に昇華させる力学。
この「力学」こそが、ワンワールド史のシナリオを見通す「型」。
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