東欧に位置するウクライナ、接するところ、東はロシア連邦、西はポーランド、スロバキア、ハンガリー、北はベラルーシ、南は黒海その沿岸でトルコなどに面しますが、西南にはルーマニアとモルドバとの国境があり、クリミア半島を除く人口およそ4159万人(2021年時点)は欧州全体で7番目と紹介されております。
私は当該国の苦悩が世界に波紋を広げるとき、当該国の大勢転考に着目しますが、その因果を生む場所(=地政的条件)と時間(=時代背景)を認識したのち事に当たります。初めは建国を成しえた族種の遺伝子情報に鑑みる國體(=国民性の活路)が何かを剖判したのち、次に調べるべき工程毎の情報収集を整え一定の成果を得たとき、当該国の苦悩解消に役立つよう献策を講じております。
献策が建策に値するか否かは「在るがまま→成るがまま」に委ねるほかありません。
現況ウクライナの領域にケチをつけても栓ない愚痴のアワばかり、裏付けない有職故実を信仰する識者のコメントも栓ないソーダのアワばかり、かつて天下を征したテレビも今となれば、自薦他薦が入り混じる専門家ラッシュに縋るだけ、さすがのモンスターも自らの図体を持て余すのみです。
2013年、プーチン政権がコサックに警察権を付与するや、ウクライナ政権は自国とEUの連合協定を停止そしてロシアとの経済関係緊密化を決定その直後にユーロマイダンと呼ばれるデモ運動が盛んになります。プーチン政権はウクライナ内の親ロシア派を通じた内政干渉のもと、領土の蚕食を進めるため2014年3月クリミア併合その翌4月にはドンバスと呼ぶ戦争へ突入していきます。
さて、私が認識する第二次大戦後のウクライナは、昭和天皇崩御を機に始まる大自然の鳴動と共に東西を分断したベルリンの壁が壊され、賞味期限の切れたソ連邦を見限り独立国を宣言いたします。独立後に中立国である事も宣言したウクライナは、近隣ロシアや独立国家共同体=CISと限定的な軍事協定を結びつつ、かつて西側陣営だった北大西洋条約機構=NATOとも平和の為のパートナーシップを結ぶ事でとりあえず東西一体化の体裁を装うまでには至りました。
いつしか、世界の耳目を惹くギネスブックが出現するや、何かにつけランク付をブーム化し、特に真の狙いを隠した世界レベルの怪しいランク付が増加の一途をたどります。その一つに、人間開発の指数と嘯くランク付で発展途上国順位を決するモノがあり、第74番目とされたウクライナの評価はヨーロッパで貧しさ2番目の国と決め付けられ、非常に高い貧困率と深刻な汚職に悩まされる国家と屈辱的なレッテルに甘んじています。
また一方では、肥沃な農地が広がる事から世界有数の穀物輸出国であるとされ、軍隊の兵員保有数順位はヨーロッパ3番目にランクイン、ウクライナより多数の兵員を有するのはロシアとフランスに限られるとされます。それはまた加盟する組織にも関連してきますが、国連、欧州評議会、欧州安全保障協力機構などに与する事は当然とし、GUAM=ジョージア(旧グルジア)、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバの4か国で結ぶ当該国のほか、ルプリントライアングル=リトアニア、ポーランドと結び欧州連合やNATOへの総合支援を目的とする一員になるなど、貧しさ2番目の国とは思えない外交力を持ち合わせるのであります。
もう一つ前記した独立国家共同体=CISがあります。かつてのソ連邦構成共和国のうちバルト3国を除く12か国(発足当初は10ヵ国)で結成された連合体制ですが、ウクライナは創設国として参加した国の一つですが加盟し得ない事情を潜ませるのです。
しつこくて恐縮とは思いますが、もう一つ国際指標として腐敗認識指数なるモノがあり、国別でのランキング2021年度版122位とされるのがウクライナであり、これは政治と軍事の組織による汚職と腐敗が長年にわたり改善されないという事に原因ありとされています。
他は略しますが以上のコトガラだけでも、浮き沈み激しいのがウクライナの威信であります。国の威信とはなにか、そんなに軽々しく扱われる国の大統領が何でハリウッド・スターよろしくサミット会場に馳せ参じるなど、連日メディアの寵児として演者を装う必要があるのでしょうか。
それを考証せずに俄かコメンテーターを養うテレビとは何なのか、戦場動画をリピートして従軍を装うかの如き茶番を知るにつけ、米軍爆撃機のトラウマがよみがえる私の如きは、世界初の原爆から逃れる術も封じられた無辜の日本人が未だ悪夢から救われないなど思うと、ウクライナに遠く離れた地に居ても他人事では済まされない心痛に苦しむのであります。
古代ウクライナの領域が現在と異なるにしても、その大勢転考を考えれば、時代毎の変遷とともに地政学的な統治と統帥のエネルギー源は明らかになり得るのです。古代に定められた場所と時間に根付く生命のエネルギーには、必ず伴う対発生として周期的な運動の働きがあり、その周期性から大勢転考の遺伝子情報を拾うと米ソ二極化インチキ体制が浮かび上がり、その対消滅から新たに生まれる対発生を考えれば、そのサインは2013年のコサックに付与した警察権に潜むのであります。
即ち、プーチン政権のウクライナ侵攻は2013年に始まっているのです。世に傭兵派遣の業態が出現するまでの情報から、出現後の情報一切を秘匿するのは、戦争当事者の常套手段ですが、平和の希求を声高に叫ぶ国際政治が「戦争当事者の秘匿情報」を開示できないのは何ゆえ…、これこそ政官業言こぞって戦争の呪縛から脱せられない宿痾ではないのですか…?
太陽系と呼ぶ動態の中における地球は「時」と「場」を定める周期性エネルギーのもと、地球圏に種々の生命体を出現させてきましたが、その生命体の中から「時と場」を理解しようとする生命力が養われてきました。それが人である事は過去を知れば明らかであります。
人は遺伝子を継ぐ事から以前にも増す能力を得るようになり、それを実感する事から更なる継続を保つようになりますが、その過程から多種多様に及ぶ事象も実感するようになります。結果的に知り得たモノゴトの性質を要約すると「在るがまま・成るがまま」に尽きますが、そこに大小強弱の市場原理が働くようになると、いつしか人の集合体は競い争う事も辞さなくなりました。つまり、公私の分別ない群集が「赤信号みんなで渡れば怖くない」心理に誘導されるのです。
戦争は競い争う事が暴走したとき起こりますが、勝利した勢力が得る最大権益は「時」と「場」を支配する事に集約されてきました。私が自負するところの公私の分別とは「貴方の為の私」に尽きる相生相克これ5行の法則にも用いられますが、理念は対発生と対消滅すなわち場の共時性を得たとき公転と自転に合致するのであります。
平たく言えば、戦争を回避するには「貴方の為の私」を自覚すること、これ剣道に例えるとしたら居合を会得するための息づかい(=呼吸)に潜みますが、それは常いかなる場合にも公私を意識した心身にのみ宿る気合を意味するのです。これ身に帯びた政官業言のトップリーダーが揃わないかぎり常在戦場は当然のこと、常在戦場に善悪の議をあげつらっても詮ない事でしかありません。
第二次世界大戦は昭和天皇の玉音放送すなわちミコトノリで鎮まりましたが、その鎮魂が絶対的な信託(=神託)として安定を成し得たのは、昭和天皇が独り新開の道を啓いた全国巡幸に公私分別の扉が開かれたからです。玉音放送から6か月と4日目(昭和22年2月19日)天皇陛下の宝寿44歳(満年齢)に当たっての場は神奈川県川崎から横浜市へ向けた移動に始まりました。
古来、皇祖皇宗の諭すところは、タマコト(ミコトノリ)を発したら身を以て気を交わすこと、に新開の道を啓く蓄積エネルギーのポテンシャルが籠められている、と私は覚っているのです。
※以後の記事は、風猷縄学稽古編【第三期】にて更新します。