情報として自然を認識する「こわさ」

こんにちは。
戦略思想研究所 中森です。

昨日、
東大が5年制新課程を創設するとの
報道があったことはご存知のとおり。

「医学から文学まで、東大が持つ教育・研究資源を
最大限に活用した文理融合型の課程で、
気候変動や生物多様性など、
従来の縦割りの学問領域では解決が難しい
地球規模の課題に対し、
解決策を導くことができる人材を育てる。」

という趣旨のようです。

各方面から称賛と賛同の声があがっており、
理系文系の区別なしに優秀な学生を育てる
ことはいいことなのでしょう。

しかしながら、現時点では、
私は「こわい」と言わざるを得ません。

と言いますのは、
東大のみならず日本の教育界は、
とりわけ戦後から今の今まで、
「自然から分離」した学生を量産してきたからです。

ここで、

城西国際大学出版会が発行する
『小松左京全集完全版 30 地球を考える』より、

樋口敬二氏と小松左京氏の対談記事の一部を
引用します。

対談時期は1970〜1971年の頃です。

——————————–
樋口:
素粒子論でも、とことんまで進んでくると、
何百億お金がかかる。
いったいこんなに金かけて、
なんで知りたいのやということになると、
はっきり言や、
全く哲学問題と似てくるわけですよ。

なんで素粒子を知りたいのか、
いままでは、なんとなく、
”学問は進歩することがいい”
ということでやってきた。

あの人たちは、
モースト・インタレスティングなことを、
インポータントと思わせることに成功した。

しかし、ふと思い返してみると、
幸福とは何ぞやという問題と同じやないか。

なんであれだけがインポータントなんやという
ことになるわけですよ。

ぼくは素粒子論の人に怒られるかもしれないけども、
素粒子論なんて、哲学に近いというか、
そういう感じがするんですよ。

小松:
湯川さんも”科学というのは文学みたいなもんですよ”
といっておられた。
あのときはびっくり仰天したな。

樋口:
湯川さんは前からそうなんですよ。
たしかに名言だと思うのですが、
ぼくらでもそうだが、
自然認識としての学問があったでしょう。

しかし、いまや若い連中はそうじゃなく、
数学を使ったりする技術面は進んだけれども、
だんだん自然認識としてとらえるんじゃなくなっている。

最近、今西錦司さんと吉良竜夫さんと上山春平さんの
座談会を読んだが、あの中で、生態学の話に関連して、
上山さんが吉良さんに、

「あなた方は、自然から抽象化しているからいい。
自然と一回接しているからいい。
しかし、最初から抽象的なものを与えられた学生は
どうなるんですか」

ときいていた。

自然から分離してしまう可能性があるんです。
情報として自然を認識するようになる。
それがこわいんです。

「地球を考える」なんてシリーズでも、
こんなのがどんどん進んだら、
小松左京がこういうとったということで、
「地球を考える」ようになる(笑)。
——————————–

引用は以上です。

樋口氏の言、

「モースト・インタレスティングなことを、
インポータントと思わせることに成功した」

とは気になるところでしょうが、
政治と科学が結託したことを意味するのでしょう。

しかし、これは風猷縄学の領域であり、
長くなるため深掘りしないでおきます。

”科学というのは文学みたいなもんですよ”
という湯川秀樹の名言を表面だけ読めば、
東大の新課程も称賛されるものでしょう。

しかしながら、
ここで私がお伝えしたいことは、
次の樋口氏の言、

「情報として自然を認識するようになる。
それがこわいんです。」

にあります。

学生が頭でっかちの研究者になるとかそんな話ではなく、

情報としてしか自然を認識できない研究者が、
地球規模の課題を解決するという大義をかざし、
人間の好みで自然に味付けをするようになること。

それが「こわい」のです。

東大ともなれば政治と結託することは明白ですから、
「なんであれだけがインポータントなんや」という
研究が奨励されることになるでしょう。

別に政治が悪いとかそういう話ではなく、
政治と結託した科学は利権となるがゆえに、
「地球を考える」ふりをして、
「お金を考える」ようになるのです。

すみっこで金儲けするのであればいいのですが、
地球規模で金儲けをする未来が来ると思えば、
私はこわくてなりません。

ところで、
東大の新課程創設の趣旨に合わせて「未来」
という言葉を使いましたが、

ご存知のとおり、数学の天才たちが、
「現に」地球規模で金儲けをしています。

具体的な例をあげればキリがないでしょう。

そして、
東大の新課程の批判をしたところで詮無いことも事実。

だからこそ、私は、
立初創生大学設立を支援したいのです。

立初創生大学設立については、
これまで何度かご案内してきましたが、

世界をフィールドとする教育開発の研究者が
40年以上の歳月を投じて築き上げた唯一無二の
革新的教育の確立に関わりたいのです。

立初創生大学の醍醐味は、
世界遺産の地の大自然に身をあずけ、
国内外の現場に身を投じる教育にあります。

自然に密着するがゆえに、
自然と分離されることはありません。

「自然を自然のまま認識する」学生を
世に送り出すのです。

2月24日(土)、三連休の中日ではありますが、
立初創成大学設立構想ヒアリングを開催します。

いったん2月16日に締め切っておりますが、
2月23日まで参加者募集を受け付けます。

立初創成大学準備財団は、
構想を多方面で応援してくださる
同志を求めています。

・日本社会に課題や問題意識を持っている方
・教育によって社会を変えるという想いに共感してくださる方
・構想の実現に向けてご協力いただける方
例:フィールドワーク先となるコミュニティのご紹介
  ICTやウェブデザイン系の賛同者の方

關谷教授を招聘する経費と会場利用料として、
5500円をお支払い頂きますが、
公教育から日本を変える事業に直結します。

立初創成大学設立構想ヒアリングへのご参加は、
真田幸光塾【第三期】のご提供内容に含まれます。

その真田幸光塾【第三期】ですが、
本日、新コンテンツを配信しました。

その内容は次のとおり。

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真田幸光塾【第三期】参加者の皆様は、
インタビュー映像のすべてを、
今すぐメンバーサイトからご視聴頂けます。

まだ参加されていない方は、
無料キャンペーン実施中の今、
ぜひお申し込みくださいませ。

真田幸光塾【第三期】参加はこちら。
https://st-inst.co.jp/sanada/school/3rd.html

それではまた。

戦略思想研究所 中森護

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