こんにちは。
戦略思想研究所 中森です。
前回、仲小路彰が著した『我等斯ク信ズ』を転載しましたが、その内容は、『大戦終結ノ大詔』および『陸海軍人二対スル勅語』を拝承し、”皇土復興方策”として、以下の結論を示しています。
日本ハ秀麗豊潤ナル国土、自然ヲ有シ、コノ皇土ヲイカニ新シク生成シ、新世界建設ノ中心的基地タラシムルカハ、マサニ今後ノ新生日本ノ根本目的ニシテ、ソノ積極的具体化コソ緊急必須ノ事ニ属スルハ明カナリ
サラニ将来ノ世界ハ地球ヲ一体トスル新シキ建設ヲ必然ナラシメ、ココニ全世界ノ統一的連絡、交通ヲ必要トシ、国土ノ正シキ本質、伝統ヲ地球的規模ノ世界的計画ノ中ニ発展実現セシメザルベカラズ。カクテコソ、始メテ、大戦ニヨル幾多ノ災害ヲ転ジテマサニ全人類ノ幸福、充足セル生活ノ基礎ヲ確立シ、皇土復興ノ実ヲアゲ得ル契機タラシメ得ルナリ
「緊急必須ノ事ニ属スル」事項は、
一、総合人間学体系
一、グローバリズム体系
一、未来学体系
として仲小路が体系化し、具体的に叙述しています。
『未来学言論』はそのダイジェスト版としてまとめられたもので、その第6版は令和8年10月に国書刊行会より刊行予定です。
上記3項の完全版については、目下、調査・研究中です。
弟子のひとりである野島芳明氏は、「仲小路先生の思想が真に理解されるのには数世紀をまたなければならないのかも知れない。」と懐想しており、もはや首肯するしかないのですが、そうもいきません。
「何世紀に一人あらわれるかどうかの天才」といわれた仲小路本人が、”二十一世紀に実現する未来”として上記3項をまとめあげたのですから、数世紀もまつことができないのです。
私は、『仲小路彰著述総目録・年譜』編纂委員会事務局次長として、その責任の重さを認識しています。
仲小路の思想を理解するためには、何から始めればよいか。思想と史観は車の両輪の如く深く結びついていることから、いわば”仲小路史観”の調査研究が第一義となります。
そのため、昭和13年から刊行された『世界興廃大戦史(全百巻)』を入手できる分だけ読むことから始めました。いまだに半分にも届いていませんが、別途、入手した資料には、『世界興廃大戦史(全百巻)』のダイジェスト版ともいえるものがありましたので、今回は、その内容を共有いたします。
日付不記載ではありますが、『世界興廃大戦史(全百巻)』の目次体系と一致することから、昭和13年以前の資料であると判断できます。
それでは、以下に転載します。
Ⅰ 上代日本スメル文化圏
東は太平洋をめぐる黑潮による、北、中、南アメリカ及び南洋諸島に亘る文化圈
西はアジア大陸を西方に横断し、ウラル、アルタイを超え中央アジアより南下してイラン高原に及ぶ文化圈
この西方文化圈は、北方、南方の兩圈に分る。
北方文化圈――朝鮮、黄河、滿洲、蒙古、新疆、中央アジア――天山北路
南方文化圈――南支、西藏、イラン、メソポタミア、インド、海峽地方、ビルマ、タイ、ジャヴ、スマトラ
この北南文化圈の節合點としての、スメル文化
スメル文化とは”皇國(スメラミクニ)”の文化形態
祭政一致の統一社會を形成
一切の諸文化の根源的體系
Ⅱ 擴散文化
1 民族國家時代
スメル文化圈への諸民族の侵入
民族國家の成立――古代の「王」の存在
エジプト第一王朝――神武紀元前二七四〇年頃
ピラミッド王朝 前二四四〇年頃
古バビロニア王國 前二一四〇年頃
インド、インダス文化――ハラッパ、モヘンジョ・ダロ
メソポタミアとエジプト兩文化の交錯點パレスチナにイスラエル文化の形成
この唯物的發展はフェニキアとあり、世界貿易商業の起源
多島海文化
トロアの陷落によりギリシャ文化の勃興
ローマ、地中海文化の建設
黄河、黄海を中心とする上代日本文化圈の發展
日本南方ルートによる上代南洋、インド文化との交流
エジプト文化の衰退――イランによるエジプト人の多量の捕虜奴隷――エジプト奴隷の東方への逃亡
上代東亞文化地帶への漢民族の侵入
古代文化の混亂、破壞――周代春秋の長期戰の開始
アーリア民族のインド文化地帯への侵入
先住文化の繼承としてのヴェーダ文化
バラモン階級の獨裁制
2 宗敎國家の建設
世界諸民族の上代スメル文化圈への侵入としての世界史的長期戰の開始
日本の神武天皇の建國は、まさに世界的戰爭に對する、總力戰的體制の確立
スメル文化の復興としての統一的なる宗敎國家の典型
孔子、孟子等の皇國理想實現のための王道の理論
春秋戰國時代の長期戰を克服し、支那を統一せる秦始皇は、まさに日本皇國の支那への轉形にある。
漢高祖は、淮夷の地(東夷文化圈)に起り、我が四五五年、始めて漢民族による支那統一成る。
上代スメル文化復興を目的とする釋迦族の佛敎
佛國土建設は、皇國形態のインド的形成
イラン、ギリシャの長期戰――古代戰爭文化
ローマ、カルタゴの抗爭興廢――古代戰爭文化
アレキサンドロス大王のスメル文化の復興としてのインド、エジプト、バビロンの遠征
世界都市アレキサンドリアの建設――アリストテレスの哲學
民族國家より宗敎國家への轉形期――(ソクラテス、プラトーン)
ローマ帝國の統一的方法としての宗敎的彈壓
ローマ植民地放運動――ユダヤのキリスト
ローマの内部的攪亂の思想戦――パウロの布敎
ローマのキリスト敎移入による宗敎國家の形成
日本系フン族の西歐進出
フン―、ハン―、カン―、カミ
宗敎國家建設としてのアッチラ戰爭
フン族の政治、統制組織により、西歐ゲルマン族に始めて封建制の確立
上代東亞文化の再建としてのマホメットの出現
聖德太子の皇亞統一體の理念
大化改新の實現
支那統制の目的とその政治的國内革新
3 敎權國家
寺院、敎會の統制形態
奈良朝、平安朝
ローマ法皇國家
中世紀的騎士制
唐の政治組織
サラセン國家の成立と發展
4 封建國家
敎權衰頽による内的發展
莊園制
武家の勃興
支那、宋代の分裂
十字軍の繼續
――東洋文化財の掠奪
封建制の否定としての成吉思汗戰爭
源平二氏の對立――大陸政策と南進政策
義經對頼朝――海外發展と國内統制の對立
5 近代國家
元寇――北條氏の崩壞
建武中興
――八幡船の進出
――元寇は八幡船によりて刺戟されたる反擊――
英佛百年戰爭
――中世的法皇制よりの獨立
サラセン文化の西漸
蒙古國家統治の近代西洋國家制への展開
東方の資源と政治組織の西洋的再肇としての近代西洋國家
マルコポーロの理想
コロンブスの實踐
エリザベス女王の近代國家主義
クロムウエルの淸敎革命と近代植民地獲得
近代國家の理念としてのルネサンス
イタリア、スペイン、オランダ、ポルトガル等の初期資本主義の發展
ルーテルの新敎革命とカルヴィンの資本主義的自由宗敎
6 民主國家
日本は德川の鎖國により民主國家を形成せず。しかも德川幕府は多分にその影響を蒙る。
イギリス議會主義
議會による封建制の否定
他國に對する國内對立の激化
フランス革命――フランスの衰頽
アメリカの獨立――フランスの支援
七年戰爭によるヨーロッパの矛盾と、イギリスの植民地獲得
神聖ローマ帝國の滅亡
イギリス資本主義の世界制覇
イギリス貴族と金融資本との結合
近代的自然科學のメカニズム的社會形成
統一的主權の否定、階級的分裂化
植民地對歐米資本國家の矛盾
植民地侵略戰の極限としての日本の存在
Ⅲ 日本世界國家
――スメル統一文化復興
世界のブロック的構成
――その傳形期的長期戰
東亞勢力圈
ヨーロッパ勢力圈
アメリカ勢力圈
南方勢力圈
――上代日本文化圈の勢力圈との對應
日本勢力圈
北方ソヴエート勢力圈
太平洋アメリカ勢力圈
イギリス植民地勢力圈
擴散文化の揚棄綜合としての日本世界統一文化の建設
歴史研究家の落合莞爾先生も「何世紀に一人あらわれるかどうかの天才」と呼ばれておかしくない頭脳をお持ちですが、仲小路と接することがなくとも類似する史観に達するということは、人類共通とはいかずとも、日本人として持つべき史観は、一定のところに収束するように思います。
ともかく、仲小路の「グローバリズム思想=地球論=地球公園社会」は、「擴散文化の揚棄綜合としての日本世界統一文化の建設」という”仲小路史観”が示す未来と同じ型であり、『我等斯ク信ズ』が示す結論もまた同じ型となっています。
それは、上代日本スメル文化圏から日本世界国家へと発展する未来。
仲小路の思想を真に理解しうるかどうかはさておき、仲小路が描く未来図に共鳴する仲間とともに、その実現に邁進する所存です。
それでは、また。
戦略思想研究所 中森護
P.S.
言の葉となりて我よりいでざりし あまたの思ひ今いとほしむ
上皇后美智子陛下、平成四年の御歌です。
和歌は日本最古の伝承文化、その起源は神話の時代に遡り、日本文化の淵源となりました。
「万世一系」と「しらす」を中心とする皇室の伝統。
上代日本スメル文化圏から日本世界国家へと発展する未来。
この世界は、”音の響き”に始まり、そして”音の響き”に終わる。
私はそう思います。
もし、あなたもそうお思いなら、ぜひこちらのページをご覧ください。

ひとりの日本人として、出会わなければならない”音の響き”がここにあります。