【文明地政學叢書第一輯】第一章 「千切り取り文明」の終焉

●歴史を禊祓する

 朝鮮総連中央本部(千代田区富士見二・一四・一五)の不全構造が断末に達した。通称九・一一事件から歴史の暗闘に閉じ込められていた情報が相次いで表面化を免れない事態となっている。
 不全構造は情報を司る基礎回路を結ぶ接触面に起こる因子の揺らぎから壊れる。因子の揺らぎに生じる損傷は上古の時代から存在するが、電子社会を通常とする現在では、瞬時にして生命体の回路機構を混沌に陥れる。
 接触面に生じる隙間に忍び込む信号の盗聴工作は、朝鮮問題に限らず様々な隠蔽情報を表面化させるが、同時に電流雑音は様々な生命の回路機能を破壊して想定外の事件を誘発する。事の重大性にうろたえて暴走した象徴的な出来事が通称九・一一事件の後始末だが、今や進路も退路も絶たれている。
 すべては先送りされた不全構造の宿痾であり、歴史を禊祓しない限り、如何なる情報を接収しようと、事件の本質を掴む手掛かりは得られない。
 今回の朝鮮問題も本質は同じであり、通称九・一一事件の余波であるから、日本社会も同じ轍を踏む暴走に乗せられる可能性が高く、日本人として看過できない。放置されて久しい拉致問題の急浮上も小泉訪朝も、通称九・一一事件を機に始まる後付けの対応ゆえに、すべてが尻切れ状態になる傾向に支配される。
 今回の地上げ問題も同じことゆえ、放置は許されない。戦後日本の暗躍に沈んだ日朝の歴史を掘り起こすには、禊祓を要する以下の事案をまず認識する必要がある。
 人名を組成する細胞が如何なる遺伝情報をもち如何なる神(情報)のもとに生かされているか知ろうとしない、生ける屍(臣)の時代が続いて久しい。神格(天皇=君)を人格に落とし込めて恥じない臣と民(迷う世界に留まるすべての生き物)=衆生は、似非の神が施す教育を真に受け、混沌の空間に無為なる時間を過ごしつつ右往左往している。
 この閉じられた空間を打ち破る終末の開基が通称九・一一事件であるが、過去・現在にわたる本義の禊祓を知らないと、臣と民は相次ぐ情報の表面化を読み切れず、何で自分に責任が及ぶのかは分からない。その象徴的な存在が情報分野に巣を作る職業に見られるが、本人らは似非の神に操作されるため、目先しか負えず、もっとも醜悪なゾンビのバトルを騒ぎ立てるだけである。
 もとより遺伝情報は人の生命図を描く部分だが、全体図とはなりえないので、本能的属性は自らのポジションを知ろうとする。総合図を描く基本設計は各種各様の要素を見せる実証メカニズムに従うが、実在は鑑識しても、実相(現象)を鑑識するには、心象的洞察力を要する。
 形のない心を象るには、繰り返し分解と再現ができる仮定を建て正誤を評定する禊祓を欠かさず行うしかないのだが、これは容易な作業ではない。心象の形成は遺伝情報と禊祓の仮定(情報)を併せもつことで初めて実相を鑑識しうる洞察力が備わる。
 この各種各様の仮定を神として置き換え、神々を統合して仮設を設計する学芸が宗教なるものであるが、宗教は同じ遺伝情報を共有する者同士か、もしくは自らの遺伝情報にも気づかない衆生にしか通用しない。なぜならば、実相を洞察しても実在を鑑識する物理的実証力が伴わないために、生命図の全体設計に決定的な矛盾が生じるからである。
 その証明がご破産で願いまする戦争というツールであり、戦争は弱きを挫いて成り立つ損得勘定だから、実相の洞察力さえ怪しく、宗教上の神も信用ならないのである。
 以上述べ来たった前提を消化しない限り、朝鮮問題に生じる因子の揺らぎを剖判することなぞ、およそできない相談だと筆者は確信する。

●「千切り取り文明」の終焉

 左頁(ママ)に挿入された系図は、時間(時代)と空間(場所)に刻まれる個人(部分)情報が実に上手く結合して、歴史的に価値の高い全体情報を提供する。


 単なる作り話を弄ぶ売文の個人情報は歴史とは無縁の商業であり、活字は森林伐採の環境破壊と廃棄物の山を築き、周波数を千切り取る電子文明は生命回路まで破壊していく。
 すでに上古からある契り約す文明も現代では千切り取りの思想に支配され、枝葉末節を論うワイドショーと同様に生ける屍が跳梁する時代と成り果てている。信じ合う結合は開かれた空間に生かされているが、信じ合えない結合は閉じられる空間を設けて契り約す担保がないと不安を拭いきれない。
 契約行為でもっとも大げさな現物に旧約聖書という作り話がある。過去の出来事から契約側に都合のよい部分だけ千切り取り勝手に作る住民基本台帳の下に、被契約側と旧きを約して聖と慰め合う書きものである。ただし、神と契り約す行為は旧約より以前から存在した。旧約が他と異なった点は、信じ合う文化圏を超えて信じ合えない文明圏を生み出し契約行為を市場化したところにある。
 もとより市場とは、不安定な需要と供給を支える必要から、人為的な競い争う工作が加わるため、旧約を書き改めた新約という新商品も出れば、旧約・新約に対立しうる言行一致(イスラム)という新商品も出現する。
 しかも、契約市場の規模が拡大膨張すれば、基本商品から各種各様の新型グッズが出現して、シェアを取り合う争いが生じても不思議ではない。
 こうした歴史的な経緯を通じて人為的に工夫されたのが、時間(暦)操作と空間(契約の聖地)を取り合う抗争である。また、契約に関する絶対的な根據は神と契り約す預り言であるから、旧約も神の正体が情報だと白状している点では高く評価されよう。
 ところが、情報こそ神という旧約・新約は損得勘定に合わない経験に悩まされると、マヤの情報(文化)を盗み取って独り占めにした。以後は周到な準備の下に、物とは何かの実験分野を通じて勝手な言葉を生み出し、それを公用語と呼んで、時間と空間の人為的な操作を本格化する。
 実験科学はすべての学芸を打ち砕き、「神は死んだ。棲む所もなく、必要もない」と言い放ち、人間こそ神であると断定した。
 神は怒り、天誅のために放射性元素を発見させると、物理学は「思うようになる場合も、ならない場合もある」と言って、ふたたび神の世界へ逃げ込むという失態を演じた。
 すでにして政治は「事柄ひとくだり(条)ずつ書き分ける文」なる定義を物理に従って決定して、国際間を結ぶ条約公用語としていたため、いまさら批准撤回もできないという崖っぷちに立たされる。
 逃げ切れない政治は実相と似て非なるウソを組み立て、全体的結合の矛盾を隠蔽するため、学芸の細分化を徹底することによって「千切り取り文明」を断行するしか途はなかった。
 契約での千切り取り行為を細分化すれば「ニギリ」「ホテン」「トバシ」と区分されて各々に条件が付くように、電波を千切り取って周波数を分配するのが、現代の電子社会である。電子の発見(一八九七)は素元粒子をさらに細かく千切り取る量子文明を支えたが、現時点においては、ついに千切り取れない紐(波)に突き当たり、手を拱くしかない断末に達している。
 もはや「千切り取り文明」で通用した理屈は微塵も通用せず、欺し合って契り約す閉じられた空間の生ける屍は自ら工作した時間に従って壊れゆく運命に晒されるほかない。
 そもそも如何なる実相実在もすべての原義は結合法であり、結合に無理な強制力を加えれば、部分と部分は必ず寿命の短い剥離を起こすことになる。剥離を起こすとき、部分と部分は互いに相手の性質を千切り取るから復元は不可能であり、変則性に晒された情報の統合はありえない。
 別紙系図に登場する個々人に関する情報も、限りなく出現する売文の作り話から全体的な情報の結合を図ろうとしても、その努力は報われまい。命はまず五十歩百歩の遺伝情報を根據に生まれるが、人生では伝統を保持するか、それとも断念するかという岐路に立たされる場合がある。系図の個人情報を剖判(全体が剖れて再現することが判ること)すると、個々の運命が天皇制と向き合う運命の重大性と遭遇しており、現在・未来の情報を引き出す価値が潜んでいる。

●総連本部地をめぐる歴史①

 明治元年(二五二七)に導入された太政官制は、翌年の二官(神祇官・太政官)六省(民部省・大蔵省・兵部省・刑部省・宮内省・外務省)制で会計官が大蔵省と改められ、この大蔵省と民部省との合併は巨大なる権力の集中となり、政争は明治六年(二五三三)の内務省の設置まで繰り返された。
 明治十三年(二五四〇)には大蔵省の監査部門が独立して会計検査院が設置され、一八年の内閣制度発足により初代蔵相に就任したのが松方正義である。
 以後、官制の整備が進むと、大蔵省は歳入歳出・租税・国債・造幣・銀行などを所管として、内務省と並立する行政庁の両翼としての地位を定めた。
 この大蔵省に関する歴史において、特記を要するのは「平将門の首塚」に纏わる伝承であろう。
 すなわち、大正一二年(二五八三)の関東大震災は停滞を許されない行政に仮庁舎建設を急がせたが、大蔵省の敷地内にある将門の首塚を取り壊した蔵相ほか一四名が急死するという事態に見舞われた。祟りと恐れた政府はただちに首塚を元に復した。
 さらに、皇紀二六〇〇年、つまり昭和一五年は将門没後一千年目に当たるが、この年に激しい落雷が大蔵省ほかの官庁街を焼き尽くした。すぐさま政府は、将門鎮魂祭を催している。これらの伝承はいまだに財務省(大蔵省)に語り継がれていて、その呪縛から解放されるに至っていない。
 八頁(ママ)系図上の蔵相OBは、松方ほか浜口雄幸佐藤栄作もおり、蔵相の経験はないが、犬養毅三木武夫を含め何れも首相となっている。個々の情報結合は後記に回すが浜口(高知県出身)と犬養(岡山県出身)は首相在任中に銃撃され、浜口は一命を脱して復活を期するが過酷な政争に参戦五ヶ月後に没し、犬養は即日のうちに没する。

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