人類の大半がいまなお原始状態にある

こんにちは。
戦略思想研究所 中森です。

風猷縄学稽古編【第三期】再募集期限は、
【あと3日】となりました。

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ところで、

風猷縄学稽古編【第三期】募集要項を
ご覧になったところで、

風猷縄学(稽古編)の開講は、
有職故実と家督の継承にあり、
それはまた、
歴史観の持ちようを問われる事、

であるとか、

未来を養うとは「あなたの歴史」を始めること

であるとか、、、

抽象的でちょっとピンとこないという方も
いらしゃると思います。

ここで、いつものパターンですが、
レオポルト・フォン・ランケ(1795〜1886)
『世界史概観』から引用して、
その意図をお伝えいたします。

以下、引用です。
——————————–
多くの哲学者たちのように、全人類は、
一定の原始状態から、
ある積極的な目的にむかって
前進していくものである、

と仮定しようとするなら、

ひとはそれを二つのしかたで考えることが
できるであろう。

すなわち全体をみちびくひとつの意志が、
人類の発展を一つの点から他の点へと
動かしていくのだとするか、

それとも、
人間の内にいわばある精神的な素質といった
ようなものが潜んでいて、
それが事物を一定の目的にむかって必然的に
駆り立てていくものであるとするかである。

私はこの二つの見かたは、
哲学的にも成り立たないものであるし、
また歴史的にも実証できないものである
と考えたい。

まずひとは、
こうした見かたを哲学的に容認しうるものと
することができない。

なぜなら、第一の場合には、
人間の自由がまったく棄てられてしまって、
人間をただ、意志のない道具にしてしまう
ことになる。

また第二の場合には、
人間はまさに神であるかそれとも無であるか
でなくてはならないであろう。

ところがまたこの見かたは、
歴史的にも実証できないものである。

なんとなれば、まず第一に、
人類の大半がいまなお原始状態にあり、
出発点そのものにとどまっている。

ここにおいていったい進歩とは何ぞや、
どこに人類の進歩がみとめられるかという疑問が
おこらないわけにはいかない。
——————————–
以上、引用です。

ランケは、ドイツの歴史家で、
19世紀最大の政治史家、世界史家といわれ、
実証主義に基づく歴史学を確立しました。

実証主義に基づく歴史学とは、
歴史学の「間」に重きを置いた立場と
解釈することができます。

逆に実証できないことは「間」を喪失しがちであり、
結果的に歴史的エンターテイメントに陥ります。

例えば、
「全体をみちびくひとつの意志が、
人類の発展を一つの点から他の点へと動かしていく」
という歴史の見かたは、

「間」を喪失した陰謀論界隈で盛り上がりますが、

そこで盛り上がっている人たちは、

「人間の自由がまったく棄てられてしまって、
人間をただ、意志のない道具にしてしまう」

ことを喜んで受け入れているふしがあります。

もちろん、
エンターテイメントとして楽しむことは自由ですし、
サディズムやマゾヒズムの次元であればなおさらです。

よって、「間」を喪失した歴史観は、
風猷縄学で問われる歴史観とは対極にあります。

ここで、もう一度、
ランケ著『世界史概観』から引用します。

以下、引用です。
——————————–
したがって歴史家は、
その主要着眼点を第一にかれこれの時代において
人間が如何に考え如何に生活したかというところに
置かなければならない。

そうするときに彼はたとえば道徳的理念のごとき、
ある種の永久不変の基本理念を離れて、

各時代がそれぞれに特殊な傾向をもち
またそれぞれに固有な理想をもつことを
見出すのである。
——————————–
以上、引用です。

つまり、
風猷縄学で問われる歴史観とは、最終的に、
あなた自身が如何に考え如何に生活したか
というところに重きを起きます。

と言いますのは、

各時代と同じように、
各一族がそれぞれに特殊な傾向をもち、
またそれぞれに固有な理想を持つことを
見出すこと、

すなわち
有職故実と家督の継承に重きを置くからです。

そういった意味で、
風猷縄学で問われる歴史観の「間」とは、
有職故実と家督の継承と言えるでしょう。

もちろん、人類史をマクロで概観すれば、
一定の歴史法則を見出すことができるのでしょうが、

ミクロでは、
どんなに小さな個人であっても、社会であっても
人間の生のもちうる意味と尊厳が
すべて凝縮されているのです。

何はともあれ、

何らかの歴史法則性や歴史モデルに
むりやり人類史を還元しようとすると、 
偽史が生まれやすくなると考えるのが、
弊社の立場です。

ランケの同著でも取り上げられる
コンスタンティヌスの寄進状という偽書は、
格好の例ではないでしょうか。

さらには、

最終の時代がつねに最も優れたものであって、
先行する時代はただ後続する時代の運搬者に
すぎないという考え方も、
あらゆる人が陥りやすい思い込みです。

もちろん私自身、例外ではありません。

ランケが述べるとおり、

「なんとなれば、まず第一に、
人類の大半がいまなお原始状態にあり、
出発点そのものにとどまっている」

と考えることが適切ではないでしょうか。

物質面は進歩していると言われれば否定できませんが、
精神面ではどうでしょうか、、、。

私たちが生きるアジア圏ひとつとっても、
ブッダや諸子百家の精神から進歩していないどころか、
劣化し続けているのでは、、、。

いや、実態はどうなんだろう、、、。

さて、このあたりで、
「あ、あれか、、、」と何かが脳裏を掠めたのでは
ないでしょうか。

そうこちらです。

小笠原孝次(著)、七沢賢治(監修)
『言霊百神〔新装版〕古事記解義』
「天地のはじめ(初発)の時」。

大事なことなので何度でも引用します。

以下、引用です。
——————————–
天地は今此処で絶えず開闢しつつある。

『古事記』が説く「天地のはじめ」とは
天文学や生物学や歴史の上の観念で取り扱うところの
事物の初めを云っているのではない。

今が、そして此処が、すなわちnow-hereが
恒常に天地の初めの時であり場所である。

すなわち天地は実際に今、此処で絶えず剖判し
開闢しつつある。

その今を永遠の今と云う。

この事を禅では
「一念普く観ず無量劫、無量劫の事即ち如今』
(『無門関』第四十七則)などと云う。

「永劫の相」(スピノザ)とも云う。

そしてその場所が常に宇宙の中心である。

この今、此処を「中今」(「続日本紀』)と云う。

この始原である中今から天地は瞬間に剖判して、
忽然として森羅万象を現出する。

言霊麻邇はその瞬間に活動する生命の知性の内容であり
その原律である。

この恒常の天地の初めである「中今」を把握することが
あらゆる事物をその根源から理解する上の正規の出発点である。

仏教、キリスト教、儒教等の古来の哲学宗教の修証である
「空」「悟り」「救われ」「天」などと云われる宗教上の
体認はすべて此の中今を把握することに他ならない。

そしてこの中今と云う天地のはじめの把握が
神道に入る門であり、神道の出発点である。

布斗麻邇とはこの「空」である中今の精神的大宇宙、
北海の中に活現する人間生命の自覚内容、

すなわち、

『般若経』で云う「諸法の空相」と
『法華経』で云う「諸法の実相」の
原理と原律のことであり、

並びにその原理原律を人間の自覚と自主自立性の下に
社会国家に活用していく方法を云うのである。
——————————-
以上、引用です。

この後の補足はもう必要ないでしょう。

ところで、

風猷縄学(稽古編)の開講は、
有職故実と家督の継承にあり、
それはまた、
歴史観の持ちようを問われる事

であるとか、

未来を養うとは「あなたの歴史」を始めること

であるとか、、、

抽象的でちょっとピンとこないという方、
いかがでしょうか?

ランケのいう一定の原始状態。
そして、始原である中今。

此処から「あなたの歴史」は瞬間に剖判します。

すなわち
未来を養うとは「あなたの歴史」を始めることなのです。

これが現時点における
風猷縄学(稽古編)の開講に対する私の考え方です。

表現力不足で説明が上手い方ではないのですが、
精一杯お伝えしました。

その過程で、

4月13日(土)東京にて、
特別講義「言霊学の現実的利用法とロゴストロン概説」
を開催する意義もあなたに伝わったと思います。

4月13日(土)の特別講義には、
風猷縄学稽古編【第三期】参加者限定で無料招待中。

最後に繰り返しになりますが、

風猷縄学稽古編【第三期】再募集期限は、
【あと3日】となりました。

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それでは、また。

戦略思想研究所 中森護

P.S.1

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