こんばんは。
戦略思想研究所 中森です。
昨日、風猷縄学の稽古仲間から、
驚くべき記事が共有されました。
当該記事はこちらです。
https://bunshun.jp/articles/-/79858
本記事の全文は、「文藝春秋」7月号と、
月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」
に掲載されているとのことですが、
上記URLの前半から一部抜粋します。
(以下、抜粋)
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彼(オルバン首相)の執務室全体は、
ブダペストの丘の上に聳える古い修道院のなかにあります。
この上なく壮麗な場所ですが、
彼のオフィスは、簡素な寄木張りの床で極めて質素。
それでいて、
とてもエレガントな空間だったのです。
金箔で過剰に装飾されたパリのエリゼ宮(仏大統領官邸)
とはまったく対照的です。
古典的な教養と感性をもつ日本人なら、
オルバンのオフィスの方が居心地がきっと良いはずです。
最も驚いたのは、「ツラン民族分布地図」
〔中央アジアを起源とする諸民族の
文化的統一性を主張する「汎ツラン主義」の地図〕
という戦前の日本語の地図が
首相執務室に掲げられていたことです。
「ハンガリーと日本は似た色だ」とオルバンは指摘し
(この地図自体は「汎ツラン主義」という
半ば空想の産物かもしれませんが)、
日本への親近感を示しました。
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(以上、抜粋)
エマニュエル・トッド氏が
最も驚いたと強調している
「ツラン民族分布地図」とは、
ここ数年、
風猷縄学の稽古に用いている地図と
全く同じものです。
昭和八年六月二十五日 印刷納本
昭和八年六月三十日 発行
発行者 日本ツラン協会
著書 北川鹿藏
製圖者 加藤隆四郎
風猷縄学の稽古に臨む方であれば、
必ずや目にしたことがある地図です。
ツラン研究目的としてはもちろん、
史観養成のための重要参考資料のひとつとして、
修験子栗原茂より受領したものになります。
エマニュエル・トッド氏によって、
「“政治家”という以上に“知識人”の趣きがある」
と評されるオルバン首相が、
「日本ツラン協会」が発行する地図を
わざわざ選んで執務室に掲げている事実は、
日本とハンガリーの関係を反映するものでしょう。
日本皇室とハプスブルク家との極秘関係が
落合史観として世に出されて久しいですが、
ハンガリー人の姓名の順番が、
原則として「姓→名」であることもまた、
欧州の中におけるハンガリーのあり方を
反映しているものと思います。
また、記事の内容からして、
エマニュエル・トッド氏は、
オルバン首相の教養の背景として、
「ツラン民族分布地図」の存在を
特筆していると解釈できます。
風猷縄学稽古仲間の方々には、
同じ次元で教養を深めることができる環境を
ぜひ楽しんで頂ければと思います。
さらに、
エマニュエル・トッド氏は西洋民主主義下における
国家レベルの政治リーダーの劣化を強く指摘し、
「プーチンや習近平に比べると、
ジョー・バイデンやエマニュエル・マクロンは、
能力が明らかに劣っている」
とも批評しています。
私はここに「史観」という言葉を加えて、
プーチンや習近平の「史観」に比べると、
ジョー・バイデンやエマニュエル・マクロンの「史観」は、
明らかに劣っている、
というふうに解釈しています。
言葉を変えれば、
ジョー・バイデンやエマニュエル・マクロンの
外交的立ち振る舞いが、
相対的に幼稚になっているという解釈になります。
何も二人に限った話ではなく、
現在の米国大統領に加えて欧州のリーダー、
はたまた日本の首相も含めて、
プーチンや習近平にとっては、
赤子を相手にするような状態なのかもしれません。
平たく言えば、
「信用に値しない」ということなのでしょう。
つまり、
選挙という茶番に特殊能力と労力を集中しているような
「甘ちゃん」とは「信」を交わすことはできないという
ことであると思われます。
先日のメルマガでは、
「揺るがない信用」を得るために、
「やむをやまれぬ暴力」が必要とされる
「時と場」があることをお伝えしましたが、
現在の中東で起こっている事象にもまた、
「信を得ることの厳しさ」を感じます。
ところで、エマニュエル・トッド氏は、
日本の「国家主権(国家の自立)」の重要性と緊急性
についても指摘しているようですが、
プーチンや習近平の「史観」に伍することができければ、
赤子同然に扱われる日本外交の現状は変わらないでしょう。
もっとも、
日本の外交は天皇の勅許を得たモノでない限りは、
外交相手の信を得られないと伺っていることから、
大臣クラスや外交官が持つべき史観は別格であり、
御名御璽を得ずとも諸外国から信を得ることができる
「外交官」もまた別格の存在です。
何を持って別格とするかというと、
「氏姓鑑識できるか否か」です。
御名御璽を得ずとも信を得る日本の外交官とは、
必ず氏姓鑑識できる家柄に属します。
思うに、
プーチンや習近平は氏姓鑑識できる家柄であるがゆえに、
国際政治の舞台で「本物」として存在できるのです。
少し乱暴な表現になりますが、
どこの馬の骨かわからんような人間は、
己の素性を説明できないような人間は、
どんなに経済的成功を収めていようが、
どんなに立派な肩書きをもっていようが、
「信用に値しない」のです。
「本物」に対して「偽物」とも表現できるでしょう。
そして、世情は「偽物」で溢れています。
そういった現状を背景として、風猷縄学では、
今まさに日本の「国家自立」に備えた史観養成のため
氏姓鑑識の事業化を案じているところです。
そこで、昨今の中東情勢を考慮しつつ、
氏姓鑑識事業化を見据えた稽古のため、
「ツラン」をテーマとしたメルマガを
随時更新したいと思います。
不定期の更新となってしまいますが、
お付き合い頂ければ幸いです。
稽古仲間の方々につきましては、
内容に誤りがあれば、
随時ご指摘頂けますと幸いです。
それでは、また。
戦略思想研究所 中森護